3月11日

3月11日の午後、翌日に本番に控えて自宅で練習していたところに職場の夫から電話。「地震があったの知ってる?東京は5強らしい。○○(娘)の携帯も通じない」とのこと。慌ててテレビをつけると川に自動車が沢山浮かんでいる映像が目に飛び込んできた。一瞬どこで何が起こっているのか理解が出来なかったが、初めて三陸沖を震源とした大地震が起こったことが分かった。テレビでは津波警報を鳴らし「高台へ逃げて下さい」と繰り返している。

都心に住んでいる娘とは夕方携帯が通じ、怪我もなく無事でいることが確認できた。関東にいる友人達とも連絡がとれたが、一人は自宅が落ちてきた物で足の踏み場がなく、車で一夜を過ごしている、不安で眠れませんとメールが来た。そして、その後テレビで見た被災地の光景にはあまりのショックで言葉が出なかった。津波で流された町は空爆を受けた戦地のようにも見え、ビルの上に乗り上げた自動車や自動車に覆いかぶさった船など、その惨状はこの世のものとは思えない。私達が住んでいる地球は美しく強く逞しい存在だが、一方で地球自身の生理的現象に人間はなす術はない。全く無力だ、そんなことを思った。

翌日の本番は私にとっては祈りの演奏会となり、サッカーの集まりでは全員で黙とうを捧げた。その夜になって、仙台や福島の友人が無事でいることがようやく確認できた。

毎日、日本のテレビと自宅で受信できるBBC放送のニュースを見ながら、経過を見守っている。悲しい現実に涙が出ることもある。地震、津波、そして福島原発問題という正にmultiple disaster 。これでもかこれでもかと問題が山積し、避難所への物資の輸送もままならない状態だ。釜石港に物資を積んだ船が到着したが、それを運ぶトラックがなくて陸揚げ出来なかったことや、かなり近くまで物資は届いているが、やはりそれを仕分けする人や運ぶためのガソリンが足りなくて被災者のもとへ届けられない、といった話を聞いた。また不安に駆られて関東では食料の買い占めが起こり、ますます食料やガソリンが不足しているという。東北地方の製油所が被災したために一時的にガソリンが減っているが、実際のところトータルには問題ないらしい。一方、停電に備えての乾電池類の買い占めの波は関西にまで来ているという情報もある。今のところ、私が住んでいるところは問題ないけれど、根拠のない不安から全国で買い占めが起きないよう、冷静にならなくてはいけない。そして厳しい現実であっても、政府は正しい情報を上げて、その根拠を示してほしい。それを受け止める力は今の日本人にはあるとも思う。パニックになる時は正確な情報がなくて、情報が錯綜する時。現におかしな風評やチェーンメールが出回っている。

福島第一原発も、充分に地震対策は取ってきたものの、今回の津波は予想外だったらしい。20キロ圏内に避難勧告を出しているが、アメリカでは80キ圏内、とここでは温度差がかなりある。また避難勧告を命じても、未だに逃げることが出来ない高齢者の施設がある。車椅子のお年寄りを搬送する車もガソリンもなく、食料も底をついてきているらしい。何とかこういう人たちを早く助けられないものだろうか。

時として自然災害に人間は無力だが、その後の混乱が人災を生まないように、冷静な判断や知恵の結集が求められているように感じる。

被災者の方々に一刻も早く物資が届き、支援の手が延びますように。
by bake-cat | 2011-03-17 15:37 | ひとりごと

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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