魔の3時間

春が近づいてきた、庭の水仙が咲きそうだ、と楽しい記事を書きたいところだが、腰にコルセットを巻きながら、情けない気持ちでパソコンに向かっている。半年前くらいから断続的な痛みや腰に何とも言えない違和感を感じていたのだが、いつものように「何とかなるさ」といういい加減な気持ちでケアを怠っていたところ、最初はじわじわと、そして一気に襲われた。「魔の3時間」と呼ぶ朝の激痛。まともに歩くことも出来ず、台所に立ってパンを焼くことさえ出来ない。ところがある時間帯が過ぎるとスーッと痛みが引き、「さてと・・・」と立ち上がっていつもの日常業務をこなすことが出来る、という不思議な腰痛。調べてみると睡眠中は体温が下がって体が冷えることに加えて、睡眠が浅かったりすると体の疲れが充分にとれないらしい。副交感神経から交感神経へのスイッチがうまく切り変わらない時は心臓の動きも弱いとのこと。その上、最近夏樹静子さんの「椅子がこわい」という腰痛体験記を再読したばかりだったので、もしかしたら心理的なストレスが原因なのでは、とあれこれ探る毎日。しかし、毎朝恒例の「魔の3時間」が昼にも登場するようになり、重い腰を上げて(本当に重い腰だ!)しぶしぶ病院へ行った。

腰のレントゲン写真を見ながら、短髪でエネルギーが満ち溢れているような初老の整形外科医が、横目でじろっと私を睨みつけながら「あなた、腰痛は本当に初めて?あなたの腰の骨、曲がってますよ」と一言。交感神経だの、ストレスだの、理屈を百並べても、骨に異常があれば仕方がないだろう、と反省しながら腰の牽引をしてもらい、コルセットを巻いてもらった。牽引をしてもらうと、何か分らないが体に最近感じたことのない開放感が溢れ、骨が喜んでいる気配がある。またコルセットも具合いが極めて良い。病気になる前の予兆を見逃さないようにといつも思っているのに、その予兆を無視した自分や、あきらかに運動不足で筋力が落ちているであろう最近の生活態度を顧みて反省している。痛い目に合わないと懲りないらしい。それにこの病院嫌いも頑固の特徴かもしれない。

朝の激痛からはまだ解放されていないが、「魔の3時間」は「魔の2時間」になりつつある。痛みが軽い時は適度に動いた方が調子が良い。「コルセットや牽引が効くなら、普通の腰痛だと思うよ」と20年前に腰の手術をして以来、ずっと腰痛に悩まされている夫が言った。彼の腰痛はなかなか複雑だ。夫婦で腰痛を抱えるのは不本意だが、これも仕方がないことだ。

骨が定位置に戻るまで、気長に骨の声を聞きながら、養生したいと思う。
by bake-cat | 2010-03-15 11:32 | 発見

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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