鬼は内

昨日は節分だった。
我が家はそういった季節の行事にあまりこだわる方ではないので、特にどうということもなく過ごしたのだが、先月の下旬からスーパーではバレンタインデー用のチョコレートと一緒に節分の豆を売り出していた。
それらの豆を眺めながら息子が「鬼は外っていうけど、鬼は退治しない方がいいと思うんだ」と深刻な表情。「えっ、何故?」と尋ねると、「だって鬼がいてくれた方が泥棒除けになるし、それに豆ぐらいで鬼が退治できるんだろうか。豆が福にあたる可能性もあるし。」「・・・・・・・・・・」

調べてみると、鬼退治はもともと「邪気」を追い払うという意味があったようである。一方、息子の頭の中にある鬼は、桃太郎に出てくる金棒をもった乱暴者だが、本当はちょっぴりいい奴、といったイメージらしい。豆まきの歌に出てくる鬼も「こっそり逃げていく」と少々気が弱そう。

考えてみると、子供の頃から桃太郎や鬼ごっこを通して、日本人は鬼に親しんできた。そして鬼たちはいつも悪者だが、でもどこかに哀愁を漂わせている。もしかしたらそういった想像の世界の鬼ではなく、「この世の鬼」と呼ばれるものが一番怖い存在なのかもしれない。それは度を越した欲だったり、嫉妬心だったり、虚栄心だったり。自分の胸に手を当てて考えてみる。「怠け鬼」や「面倒臭がり鬼」、「頑固鬼」が顔を覗かせる。決して泥棒除けにならないそれらの自分鬼を少しは退治しなくてはいけない。残念ながら豆くらいでは簡単に退治できそうにない鬼たちなのだが。
by bake-cat | 2009-02-04 09:27 | どうでもいい話

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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