太陽のような人

四半世紀を経て再会した友人は、太陽のように力強くて明るい人だった。若き日、共に学んだ友人が如何に有難く特別な存在かを再確認する3日間だった。会った瞬間に流れた月日は消え、まるで昨日まで一緒にいたかのように話が止まらなくなる。

彼女は大学時代の友人だ。日本に留学する次男を伴っての初来日となった。彼女の夫君も私の親しい友人だが、彼はやはり日本に留学する長男を伴って2年前に会いに来てくれた。2人の息子が次々と日本に留学することも偶然だが、日本の中でも交通の便が悪く人里離れたこの小さな町まで会いに来てくれたことに感謝の念が堪えない。

チェリストの彼女は指揮者の夫と共にカナダ西部の町に住んでいる。大変な時期はあったと思うが、その賢明さや強さで一つ一つクリアしてきたのだろう。そして周りの人たちを温かく包みながら照らす彼女は、昔のイメージより一層明るく大きな存在になっていた。私たち家族もその光に包まれ、楽しい時間を過ごすことが出来た。彼女は周りの人たちを幸せにする存在だね、と夫と話したが、大きな足跡を私たちに残して帰国した。次回はカナダで、と約束したのだが・・・
by bake-cat | 2011-10-22 11:47 | 近況

外堀で息抜き

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8月に入っても梅雨のようなジメジメした天候が続いている。子どもは夏休みだが、大人には仕事があるし、バカンスを取る習慣のない日本では結局いつもと変わらない日常が繰り返される。今年は秋に本番が控えているので、お盆期間も練習の毎日になるであろう。半日でもいいから骨休みをしたいなと考えていたら、友人の葡萄酒夫人から「久しぶりに研究会を」と嬉しいお誘いがあった。以前にも紹介したが、葡萄酒夫人とは年に数回「研究会」と称する飲み会を開いている。しかしこのところ葡萄酒さんも忙しく大変な毎日を過ごされていたので、なかなか2人でゆっくり会う機会も持てないまま時間ばかりが過ぎてしまった。

研究会にはお互い、万障繰り合わせて、並々ならぬ意気込みで向かう。封建的な地方に住みながらどうしてもはみ出してしまう私達だからこそ、気が合うのだろう。普段はめったに乗ることのない列車に乗って、葡萄酒さんの住むY市に出掛けた。城下町として栄えたY市には今でも内堀、外堀が残っていて、この小さな外堀に面して小さなカフェやバーが点在する。港が近いことから商業の町としての顔も持ち、オープンな気質が私の気に入るところでもある。待ち合わせはいつものカフェ。銀行を改造した大きな建物だが、昼間から薄暗い店内は怪しい研究会にはピッタリの場所でもある。6時に待ち合わせると私が終電に乗り遅れるということが度々あり、今では4時にスタートしている。それでもまだ時間が足りない。次回はどうやら2時スタートになりそうな気配である。いったいその長い時間、何を話しているの?と夫には不思議がられるが、7時間近く飲んで話しても、まだ1楽章の再現部までも到達しない勢いだ。話は近況から始まり、子どものこと、仕事のこと、過去から将来のことまで尽きない。平日の昼から薄暗い店内でビールを飲む楽しさは格別だし、本音で話しのできる友人は宝のように貴重な存在だ。それにしても・・・・私の女友人はどうして皆、こうも力強いのだろう。野菜のように繊細で中性的な若い男性が増えていく中、私の友人達は侍のように強く、骨太で信念の塊。彼女達に叱咤激励されている私がいる。

2つの店で延々と話し、結局「時間が足りないね」と言いながら、タクシーで葡萄酒さんに駅まで送ってもらった。次回の研究会はいつになるのだろう。東京で娘達や葡萄酒さんのお兄様を交えての拡大版になる気配もある。今から楽しみだ。
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(Y市の駅にはこの方が・・・・)
by bake-cat | 2009-08-10 14:18 | 一休み

外出

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花粉症の人にはつらい季節がやって来たようだ。三角形の立体マスクをした人をよく見かける。その上、春の風に乗って黄砂が飛来するため、空気が黄色く濁ったかのように感じることがある。こういったマイナス面があるのは否めないが、それでも日増しに暖かくなっていくことがひたすら嬉しい。重い鎧を外すような開放感を感じる。

昨日は友人家族と食事をするために外出したが、エメラルド色に光る海と雪の残った山の雄大な景色を堪能した。こうして家族で町を出るのは本当に久しぶりである。

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ふくらみ始めた桜の蕾を見ていると、山頂の雪がどこか不釣合いな気がしてくるが、山の春はまだ遠いのだろう。
一緒に食事をした友人の葡萄酒さんとはかれこれ13~14年くらいの付き合いになるが、子供も同じ年で一緒に大きくなってきた。その時々での色々な出来事が思い起こされるが、2人とも来月からは大学生になるのである。酒豪の葡萄酒さんと一緒にいると、話も笑いも涙も尽きない。周りの人達に言わせると、私も彼女も物事をはっきり言い過ぎるらしいのだが、この勢いはどうやら止まらないようだ。

信頼のおける友人との時間は、私にとってかけがえのない大切なひとときである。帰りは暗くなってエメラルド色の海も美しい山も見えなかったが、温まった心に満足しながら帰路に着いた(明日からまたがんばろう)
by bake-cat | 2009-03-16 23:47 | 思考の散策

再会はすき焼き

12月も半分が過ぎたというのに雪も降らず、晴れた日が続く。
久しぶりに友人夫婦を招いてすき焼きパーティーをした。夫が気合を入れて選んだお肉を大皿に盛り、お口直しに炒ったかぼちゃの種(本当はひまわりの種が良いらしい)の入った人参サラダに春巻きを用意した。
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私達は人を招いて賑やかに食べたりお酒を飲んだりすることが本当に好きで、もしかしたら200回くらい自宅でディナーパーティーをしたかもしれない。お金のない20代の頃の方が頻繁に人を招待していた。次は誰を呼ぼうか、と計画することが楽しくて仕方のない時期もあった。本当にどうやってやりくりしていたのだろう。でもここ数年はお互いが忙しく、また子供たちも成長し、なかなか皆の足並みが揃わなくなってきた。ホームパーティーが減れば当然人との会話も減り、自分の生活圏内だけで暮らすことになる。精神的に新陳代謝が悪くなることは否めない。

今日のゲストはアメリカから来ている御夫妻である。夫の仕事上の良きアドバイザーであり、私達にとっては兄貴、姉貴のような存在ともいえる。いつもは音楽の話なども交えて、色々な話が飛び交うのだが、この日はここ最近、職場で孤軍奮闘している夫の話になった。夫の悩みに対して、ゲストのご主人が「日本の社会では・・・・」「日本人というのは・・・・」「日本人の傾向として・・・」といった具体的なアドバイスを下さる。的を得た内容に成る程、と頷きながら、何か変・・・・ 彼はノルウェー系のアメリカ人である。頻繁に来日しているので、日本の事情に詳しいとはいえ、日本に住む日本人の私達が指導を受けている。ご主人は「あなたの方がより日本的よ」と奥さんに言われ、皆で大笑いした。

時折思うのだが、私達は古い日本人なのかもしれない。(明治生まれ、という訳ではない!) 自分の中にある「ここは譲れない」といった感情に縛られているうちに、時代や社会だけがどんどん前滑りをしていて、自分から乖離しているように感じるのは気のせいだろうか。心の片隅で本当は分っていながら認めたくないこと、というのもある。そんな時に、離れた立場からの客観的な意見に触れ、自分の中で少し何かが動き出すこともある。人との出会いはかけがえのない宝物であることを実感するのはこういう時。

話が尽きず、真夜中になってしまった。外は流石に寒かったが、心の中には温かい物に触れたようなぬくぬくした感じがいつまでも残った。
by bake-cat | 2008-12-17 00:21 | 発見

怪しい研究会~マチネ

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木曜日に友人のテキーラさんから「明日、時間ある?」とメールが届いた。以前、このブログでも紹介したが、私とテキーラさんは時折「研究会」と称する怪しい会合を開いている。生憎、金曜日の夜は仕事が入っていたので諦めかけたが、違う町に住んでいてなかなか会うことが出来ない。そこで、思い切って「マチネ」の研究会を開くことにした。
朝、11時半、いつものカフェがオープンと同時に待ち合わせをする。古い銀行を改築した建物なのでがっしりしたコンクリート造りで、吹き抜けに開放感があり、インテリアにも心憎い演出がされている。神戸にも同じように、以前銀行だった建物をカフェバーとして使っている素敵な店があるが、最近の流行なのであろうか。この店は窓が小さく、自然光があまり入らないので、午前中でも怪しい雰囲気をかもし出している。
f0166114_2147526.jpgランチを食べながら、テキーラさんは赤ワインを、私は運転があるのでほんの少しだけビールを飲みながら、様々な話題で盛り上がった。ランチを食べながらお酒を飲むというフランスのスタイルが実に羨ましい。ランチを楽しむ女性や主婦は多いが、平日の昼間から酒を飲みながら食事をする姿はほとんど見かけない。地方では公共の乗り物があまりなく、自動車なしの生活は厳しい。そんなところにも原因があるのかもしれない。

テキーラさんはもともと娘のピアノの先生であった。今でも私は彼女のことを「テキーラ先生」と敬称をつけて敬意を払っている(?) また、偶然にもテキーラさんの娘さんと私の娘は同じ歳で、小学生の頃は連弾でコンクールにも出た仲でもある。
人の縁とは不思議なものである。13年前、私にテキーラさんを紹介してくれた人物が、実は大変な悪玉で、数年後に私達は大変なトラブルに巻き込まれたのである。人の嫉妬心や自己顕示欲とは恐ろしいものであることを知った。そして誰の心の中にでも潜むこの嫉妬心と如何につき合うかが、その人の人間力であることも学んだ。

f0166114_2151455.jpg以前の研究会は子育ての話が多かったが、子供達も大きくなり、もっぱら自分達の今後のことを話し合うことが多くなった。人生の折り返し地点を過ぎ、これからの時間を如何に過ごすのか、家族や年老いてきた親のこと、仕事のこと、自分達の楽しみや旅行の話、地域の問題等、話題は尽きない。もちろん結論付けれるものは一つとない。しかしこういう一見無駄な時間を共有することで、新たな発見があったり、心のなかに気持ちの良い風を吹かせることが出来るのである。

次回の研究会はいつになるのだろうか。いつもテキーラさんと別れるときには一抹の寂しさを覚えるが、力強いテキーラさんからエネルギーをもらって帰路についた。
by bake-cat | 2008-10-25 21:57 | 一休み