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穴場

時折訪れる県境の町に出掛けた。私が「心のオアシス」と呼んでいる地域だが、自宅からそう遠くはない。でも峠を越えると空気も景色も変わる。生活の基盤から離れることで頭の中が空っぽになって、心がリセットされる感じがする。大きな旅行は出来なくても、こういう散策は楽しい。

この日はいつもと違う道沿いを走り、ふと目にした蕎麦屋に入った。この辺りは民家も少なく、車もほとんど走っていない。のどか、と言えば確かにのどか。でもこの辺りはどこものどか・・・

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こんな素朴なのれんが嬉しい。雑木林を背に、手作り感満載の木の建物。屋根瓦も使わず、オーナーのこだわりが感じられる。
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中に入ると、建物の半分が吹き抜けになっていて、囲炉裏を囲むようにして客席が設けられている。更に奥にはテーブルが二つ。無駄な装飾がなく、すっきりとした、でもちょっと不思議な空間だ。古民家風と言えばいいのかな。
この店は十割手打ち蕎麦で、薫りの強い玄粉そばと、甘い丸抜きそばの2種類。温かいのと冷たいのがある。
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私が注文したのは温かい玄粉蕎麦。釜揚げうどんならぬ、釜揚げ蕎麦のような感じ。温かい麺を、出汁のきいた麺汁につけていただく。蕎麦粉の香りを楽しみつつ、体を温めてくれる有難い一品だった。蕎麦がきが付いているのも嬉しい。

こういう店はこっそり楽しみたいと思いつつ、色々な人に教えてあげたいとも思う。
また出掛けたくなる店が増えた。
by bake-cat | 2011-04-19 17:08 | 美味しい話

山葵な話

知人に生わさびを安く売っているお店を教えてもらった。時折車で通る道沿いにあって、以前から気にはなっていたのだが、その一角にある倉庫のような建物。生のわさびが何本も無造作に袋に入れられていて500円という安さで売られていた。「こんなに安く売っていただいていいんですか?」と聞くと、「構わないよ。たくさん採れるから・・・」と奥から出てきたおじいさんが手早く袋に入れてくれた。

わさびと言えば、お刺身用に購入するチューブタイプに慣れ過ぎてしまっている。ごく稀に生のわさびをスーパーで見かけても、やはり高価でなかなか思いきれない。今回はこんなに沢山手に入り、見慣れない客人が我が家の冷蔵庫に鎮座しているような感じだ。それにしてもおろしたてのわさびの清々しくもツーンとした香りと辛さは病みつきになる。お刺身はもちろん、焼いた肉や魚と一緒に、またいつもは生姜を添える冷や奴も、わさびをドカンと乗せて食べてみた。これがまた素晴らしくいける味だ。

暑い夏でも食欲が増し、同時にお腹の中もキレイに殺菌してくれそうな強い味方に出会うことが出来た。次は瓶詰めにされ、お店の冷蔵庫に生真面目に並んでいたわさび漬けも買いに行きたい。
by bake-cat | 2010-09-08 22:32 | 美味しい話

シナモンパンケーキ

f0166114_847753.jpgアメリカの知人がお土産に持ってきてくれたパンケーキミックス。しっかりした茶色の紙袋に入り、口が白い糸で縫われてあった。ジップ付きのつるつるした袋に慣れているから、昔ながらのパッケージがとても新鮮で美しく感じる。薄く焼いて、メープルシロップをたっぷりかけていただいた。そのシロップも同じ知人からいただいたもので、これもレトロな容器に入っている。口に拡がるシナモンの香りがさわやかでとても美味しい。深煎りのコーヒーにもオレンジジュースにも良く合う。

Atkins Farmsは長い歴史があり、もともとリンゴ園だったらしい。だからパッケージにもリンゴの絵が描かれているのかな。

メリハリのある味や食感、それにつるつるした肌触りに慣れてしまっているけど、こういうざらざら感も堪らなく好き。どこか懐かしい。
by bake-cat | 2010-08-01 09:21 | 美味しい話

気になる奴

f0166114_9382676.jpg比較的地味なパッケージが並ぶ豆腐コーナーにあって、その独特なネーミングとデザインで異彩を放っている「男前豆腐」シリーズ。ジョニーとかマサヒロといった美男子も登場してきたが、今回「ケンちゃん」を発見。その名も「やさしくとろけるケンちゃん」(誰だ?)

豆腐と言えば、日々の食卓には欠かせない常連さん。私は冷や奴が大好きだし、麻婆豆腐や豆腐ステーキもよく作る。でも豆腐って白くて四角いせいか、隣にある油揚げや納豆に比べてやや地味な存在になってないだろうか。その品行方正な豆腐の中で、「私達を見て!」と自己主張しているのが、これらの男前シリーズ。新シリーズも時々登場するし、何か物語があるのかな、と調べてみると、ここにHPがあった。

さて、このケンちゃんだが、私はキムチ、香菜、ごま油、醤油とアジア風に、息子はたたいた梅干しに、ネギ、醤油、白だしと和風で食べてみた。確かに「やさしくとろける」食感で、クリーミーな一品だ。豆の香りが濃厚。私にはやや「とろけすぎる」感じ。もう少しコシのある豆腐が好みかなあ。豆腐も男も優しすぎるのは要注意かも・・・
それにしてもこのシリーズは、豆腐コーナーを通る度に視界に入るので、無視できない存在だ。「ああ、また奴がいるな・・・」とついつい手が出てしまう。
by bake-cat | 2010-06-04 10:23 | 美味しい話

里の味

連休の頃の真夏日が嘘のように、肌寒い日が何日か続いた。
息子は学校の登山旅行に出かけ、家の中はしんと静まり返っている。夫と2人の夕食には、酒のつまみのようなものを作って、少量ずつ食卓へ並べた。「○○(息子の名)がいないと寂しいなあ」とつぶやく夫。明るくて愉快な息子は夫の良き話し相手でもある。

佐賀の義母から荷物が届いた。
数日前の義母と私の電話での会話・・・
義母「○○ちゃん(私の名)、たまねぎばいると?」(この佐賀弁は怪しい)
私 「お願いします!」
義母「スナックえんどうは?」
私 「食べたい!」
義母「竹の子ば、ゆでとるけど、これもいる?」
私 「欲しいです!」
義母「梅干しは?」
私 「是非!」
義母「らっきょうも漬けたけど」
私 「それもお願いします!」
全く遠慮しない私・・・・ 10代で庄屋に嫁いだ義母は男勝りで、極めて気が強い。同時に情け深く、働き者でもある。義母と私の会話はいつもこんな感じで続く。お互い「上手なこと」が言えない。
そして届いた荷物には義母が丹精込めて作った野菜や梅干し、らっきょうが入っていた。らっきょうは絶品。もともと私はらっきょうが得意ではなかったが、義母の手作りらっきょうを食べるようになってからは、好物となった。スナックえんどうを茹で、竹の子のバター焼きやらっきょうを夫と2人で有難くいただきながら、義母の話をした。私達の場合、大切な人はいつも遠くにいる。
by bake-cat | 2010-05-14 10:22 | 美味しい話

食材

今日2回目の更新。
「おうちごはん」という言葉があるが、最近は外食することもめっきり減ってしまった。新しいお店がオープンしたかな、と期待すると美容院だったり。日常にカフェライフを取り入れるという夢と幻想も抱かないこととした。何故ならカフェがないから。代わりに地域の豊富な材料を使って、出来るだけ自分で作るようにしている。とは言え、料理の腕はまだまだだし、意外と頭も固いことを発見。その上、大雑把ときている。でもどんな料理でも自宅でゆっくり食べると美味しいのも事実だ。

店で手に入らないものも当然ある。先日、スーパーで牛バラ肉のブロックを始めて発見した。友人によると、「激しい肉」はこの地域の店頭では並ばないそうである。牛バラブロックが激しいかどうかは別にして、確かにラムチョップとか七面鳥は見たことがない。でも魚は豊富だし、乳製品もなかなかいける。旬の野菜も豊富で、最近はクレソンを1束100円で購入したし、以前はなかったズッキーニも最近はレギュラーメンバーとなった。嬉しい限りだ。一方、好物の空芯菜は見かけたことがないし、ハーブ類は高くて種類も少ない。そこで、ハーブ類を育てることにした。我が家の庭は猫の額より狭いが、プランターは沢山ある。とりあえず、イタリアンパセリ、ローズマリー、バジル、そしてコリアンダーの苗を植えてみた。毎日、様子を見ながら水やりをしては、一人でニヤニヤしている。

f0166114_19261641.jpgチーズも種類が少ない。先日、友人から教えてもらった神楽坂のチーズ専門店から、久しぶりに通販で購入。HPのチーズの説明を読めば読むほど、どれも美味しそうで、迷ってしまう。直観で7種類を選び、友人を招いての夕食会で食べた。

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濃くのあるチーズはキリリと冷やした日本酒との相性もバツグン。何故か饒舌になる。昔パリに住んでいた時は、当たり前のようにチーズを食べていた。お食事に呼ばれると、その家のホストが大皿に盛られたチーズの名前と特徴を一つ一つ説明してくれるのが常だった。この日もチーズの名前を・・・・と思ったが、私自身がちっとも分かってない。そんなことを考えていると、もうすでに皆はチーズを豪快に食べ始めていた。美味しければそれで良し。
by bake-cat | 2010-05-08 19:42 | 美味しい話

居酒屋の片隅で

暫く留守にしていた夫が戻ってきた。少し遅くなったけど、誕生日の食事に行かない?という嬉しい誘い。私としては息子と無言ですすったラーメンで充分楽しめたのだけど、久しぶりに3人での外食も悪くない。

自宅からそう遠くない小さな居酒屋へ足を運んだ。カウンターにテーブルが2つほどの小さな店舗だが、ファンが多いのだろう。次々とお客が入ってくる。私達は居酒屋のお食事が大好きで、少しずつ多くの種類を味わいたい、という思いがある。付き出しは別として、前菜もメインも関係なく、次々と小皿に盛りつけられたお料理を注文する楽しさは格別だ。

今回私達が食べたのは・・・・
豚の角煮(プルンプルンしていたが、これは息子が一気に食べた)
牛筋の味噌煮込み(是非とも自宅でも作ってみたい)
ふきのとうの天ぷら(苦みが最高。塩で食べるのが良い)
穴子の天ぷら(これは天つゆとおろし大根で食べた)
海老マヨ(ぷりぷりの海老 子供が大喜び)
わかめのサラダ(新鮮なワカメを酢醤油で)
馬刺し(夫と息子の好物)
揚げ豆腐のチーズあんかけ(以外な組み合わせで美味)
手羽のスパイシー唐揚げ(ビールのお供はこれでしょ)
エイのヒレ炙り(今回はこれが金賞 やみつきになりそう)
焼きおにぎり
イチゴアイス(息子のデザート)
生ビール(最初はコレ)
地酒の熱燗(寒いので)

最近は満足できる味になかなか巡り会えなかったが、今日は良かった。お腹も心も満足している。
by bake-cat | 2010-04-04 22:33 | 美味しい話

ある日

誰もいない自宅で、思い切り羽を休めている。
平日の昼間の空気はまったりとゆるく、これが続けば確実に脳みそが退化しそうな感じ。春休みだというのに外で遊ぶ子供の声もしない。でも、こういう時間も悪くない。

f0166114_15483771.jpg一人昼食はパン屋さんで買った「ソーセージとバジルのピザ」と「野菜カレーパン」。ミニピザパンにはそら豆が乗っていて、完全にバジルやソーセージに勝っている。そら豆の存在感はすごい。一方、デザート気分で買ったカレーパンが驚くほど美味しい。これはリピーターになりそうだ。

先日の東京旅行の際、東京タワーにあるマクドナルドに行った。マクドナルドで使われているハンバーガーバンズが嫌で、長いこと足を運んでいなかったが、久々のマックは悪くなかった。ポテトも美味しい。それに国内外の見知らぬ観光客に囲まれて(自分もザ・観光客だが)、ファーストフード店に座るというのもどこか嬉しい。帰宅してから、早速息子を連れて地元のマクドナルドへ行った。紙パックのコーヒーも悪くない。でもこれが旅先の見知らぬ町だったらもっと楽しいのだが、座った席の大きな窓から見えるのは、見慣れたいつもの風景。同じようなワクワク感は得られなかった。一方、母親の気分に始終振り回される息子はワクワクどころか、半ば呆れているのではないだろうか。
by bake-cat | 2010-03-31 16:23 | 美味しい話

パン雑記

パン屋で美味しそうなパンをあれこれ選んでいる時って、誰もが幸せそうな顔をしている。私はシンプルなバゲットや山切りパンが好きだが、レーズンやシュガーバターが練り込んであるパンも見逃せない。深煎りのコーヒーとの相性を考えながらつい欲張ってしまう。昼食前にパン屋へ行くと、野菜やベーコンが入ったパニーニが気になる。ふっくらした丸いパンが多いなかで、平べったい体の中に美味しそうな具を沢山詰め込み、じっと買ってもらうのを待っているように見える。息子のおやつには必ずたまごドーナッツとチョコレートパンを買う。丸い生地にチョコチップを沢山詰め込んだこのパンはお友達の間でも人気だという。

両親はコーヒーが好きで、朝食は子供の頃からパンを食べていた記憶があるが、私が子供の頃のパンは種類も限られていて、それ程美味しいものではなかった。給食に出てくるパンはパサパサしていて、おかずとの相性も悪かった。中学時代は売店に売っている菓子パンを買うのが楽しみだったが、それでもパンはパサパサしているもの、というイメージは崩せなかった。そんな私が本当に美味しいパンに出会ったのは、若い頃住んでいた海外だと思う。デーニッシュやワッフル、マッフィンなど今では当たり前になっているが、私が育った田舎の町では見たこともなかった美味しいパンとの出会いに感動した。特にベーグルを食べた時は文字通り「ほっぺが落ちる」と思った程だ。ドーナツのような形をしながら、味はパン。地味な外見で無表情な味わいだが、不思議とその隠れた美味しさが病みつきになる。また、ライ麦パンや酸っぱい黒パンもじっくり味わう楽しみがあるし、巨大なパン・ド・カンパーニュを見た時は驚いた。

最近、学校給食では米粉パンが推奨されている。小麦粉の価格が高騰した時期もあり、米粉は低価格で日本人向きにもちもちした食感らしい。ある日、息子のクラスに米粉パンについて新聞社が取材が来た。「美味しい」「食べやすい」とみんなが絶賛する中、意見を求められた彼は一言「喉につまりやすいです」と答えたらしい。後日、新聞の記事を見ると当然、「米粉パンは子供たちに人気」といった内容にまとまっていた。息子は小麦粉のパンが好きなようだが、私はまだ米粉パンを食べたことがない。これからは米粉パンの時代になるのだろうか。
by bake-cat | 2010-02-26 11:15 | 美味しい話

新年会

f0166114_10502434.jpgやっと一人になる時間がもてたので、記事を更新することにした。年末の買い出しや料理、娘の帰省や掃除などで、気が付くと「休日疲れ」が身体のあちこちに残っている。息子は明日から学校が始まるし、私も今日の午後が仕事始め。新年という大きな船に乗りながら、まだ港にその船をつないだままだが、そろそろ航海に出発しなくてはいけない。食べ過ぎて、やや船体が重すぎるのが困った問題だが。

お正月の楽しかったイベントと言えば、2日に友人の葡萄酒夫人さん宅に家族揃ってお呼ばれしたこと。料理が得意な葡萄酒夫人さんは、美味しいおせち料理を美しく盛り付けて歓待してくれた。作った料理を大きな鉢に入れてドン、と出す私とは違って、テーブルセッティングにも細やかな工夫が凝らされている。お食事会は舌で味わう前に目で楽しむことで、更にその雰囲気が華やかになることを再確認した。この日は冷えたシャンパンで乾杯し、昼の12時過ぎから夜の9時半まで、宴は続いた。おせちの他にいただいたのは、茹で卵入りミートローフ、手作りチャーシュー、ローストビーフ(このソースがまた絶品)、あわび入りリゾット等々。こうして歓待してくれる友人の存在は何と有難いことか。家族揃って心を温かいもので一杯に満たされながら、帰路に着いた。

ただ、この宴会にはおまけが付いている。シャンペンとワインですっかり酔っぱらった私が、間違って葡萄酒夫人のお嬢さん(カクテルちゃん)のブーツを履いて帰ってしまったこと。似たようなブーツがあることは分かっていたが、それでも間違うとはどういうことだろう。皆が不思議に思ったのは、「履いた時に気が付かなかったのか?」という単純な疑問である。そういえば、父が宴会で居酒屋に行く時は、絶対に高価な靴を履いていかない、と言っていた記憶がある。泥酔して、間違って人の靴を履いて帰る人が必ずいるらしい。と言うことは私もその泥酔オヤジの仲間入りをしたらしい。
カクテルちゃんのブーツは翌日送り返したが、私のブーツはもう一度飲むための理由として、葡萄酒さんの家で人質になっている。
by bake-cat | 2010-01-07 11:48 | 美味しい話