師走の箸休め

師走の箸休め_f0166114_22102463.jpg気が付くと師走に入ってしまった。
一日24時間、決まったスピードで時間は流れているはずなのに、なにか気忙しく感じるのは年の瀬が近いからだろう。この落ち着かない時期に強引に時間をとって、娘と2人、東京に日帰り旅行をした。目的は大学を3校回ること。そして何よりも彼女を引っ張り出して、電車に乗せ、半日でも外の空気に触れさせたかったから。私と違って出不精の彼女は、高校生になってからはほとんど家族旅行に参加することもなく学校と家を往復する毎日で、あまりに世界が狭くなっているように見受けられた。
考えてみると、娘との2人旅は7年ぶりで、イギリスの友人宅を訪れて以来である。あの時はまだ小学生だったが、今回はずいぶんと成長して、大人目線で周囲を観察する彼女とのプチ旅行はなかなか楽しいものであった。

久しぶりの東京は厚い雲で覆われていたが傘を買う必要もなく、短い時間で東に西にと電車を乗り継いで、彼女の憧れの大学を見ることが出来た。何故、東京の電車は揺れないのだろう、と首を傾げ、地方ではほとんど見られない小学生の電車通学に不思議がっている。東京も郊外に出れば雑木林や畑があり、都内は想像よりずっと小さいが、そこに更に個性的な東京としての地方文化が所狭しと混在する。それにしても、自分が住んでいない都会というのは無責任で、何故もこんなに風通しが良いのか。どこを歩いても知った顔はなく、心の中で大きな伸びをする自分がいる。そしてあちこちに飾られているクリスマスツリーやイルミネーションが心を和ましてくれた。出発する時、地元の空港で見たクリスマスツリーは色が多すぎてセンスが悪い、と彼女は文句を言っていたが、都内で見かけたツリーには概ね満足したようである。ブルーのイルミネーションが夜空に映えるが、ここで色を混ぜない我慢が大切、と評論している。

歩きすぎて足腰が疲れたが、心を関節を解し、開放された一日であった。ほんのちょっとの箸休めが、煩雑な日常をまた新鮮なものにしてくれるのである。
by bake-cat | 2008-12-04 10:02 |

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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