飯ごう炊爨

夫はアメリカへ出かけ、気のせいか家の中が静かになっている。
時折、娘が弟の身体にしがみつき、「お姉ちゃんがそんなに好きなの?」と迫っている。機嫌が悪いときは弟に当たり散らす。その上、足が遅いだの、背が低いだの、食事のマナーが悪いだの、と文句を並べながら、気が向くと「可愛いっ」と叫んで頬擦りしている。一人っ子の私には分からない世界だが、兄弟はこうして子犬のようにじゃれ合いながら成長していくのだろう。

昨日は、息子の学校の親子活動の日であった。私は今年はクラス役員のなので今週はその準備におおわらわであった。校庭に釜を作り、火を熾して子供たちが「飯ごう」でご飯を炊く。そして別の子供たちが調理室でカレーを準備するのである。身体と手を目一杯使う作業というのは、人を生き生きさせることを実感した。作業する子供たちも、指導しながら見守る親達も楽しそうであった。
60人近い人を集めての催しなので、時間と空間のシュミュレーションを何度もしたが、実際動くときには大雑把な性格が出てしまう。同時に「宴会」性格がムクムクを湧き上がり、「誰一人退屈させない」という使命感で一杯になる。自宅でのパーティーでも、こういった行事でも、「退屈させない(させたくない)」が私のモットーらしい。

息子が通う学校は地方のごく一般的な公立の小学校である。家庭環境は様々で、当然色々な問題が起こる。息子もいじめられて学校に行けなくなった時期もあったが、乗り越えながら成長してきたたくましさは感じられる。話したことのない保護者や名前さえ知らない保護者もいるが、肩を寄せ合ってカレーを食べることが一つのコミュニケーションになれば嬉しい。複雑で煩雑な世の中なので、こういう単純なことが案外大切なのかもしれない。手と身体を使って作業をして、結果を大勢で分かち合う。そこに理屈はいらない。ほんのちょっとした軽い触れ合いが心の支えになることもあるのである。


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(本文とは関係ないですが) 先日訪れた松江城から見た市街地

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「パパがいなくて寂しい」と言っている息子
by bake-cat | 2008-09-21 23:48 | 一休み

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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