朝起きると、台所にあるミニコンポでバロック音楽を聞きながら家族のお弁当や朝食の用意をするのが日課になっている。我家は地形的な問題でFMが入らないので、CDをかけるしか方法がない。朝は何故かピアノの音は聞きたくないので、チェンバロによるバッハのフランス組曲やヴァイオリンコンチェルトを聞くことが多かったが、最近はもっぱらリコーダーや古楽器フルートでヘンデルやバッハを聞いている。正直、朝の忙しい時間帯にゆっくり音楽を聴く余裕はないはずなのだが、家族が起きてくる前の儀式のようなものである。子供達はブリュッヘンの演奏するヘンデルのソナタを毎朝聴かされて、全曲を記憶しているもようである。

先日、知人にフラウト・トラヴェルソ(バロック時代の横笛)を見せてもらった。よく昔の絵に出てくる横笛はこれだと納得。モダンフルートは背筋を伸ばして、自分の身体の上部に共鳴させて聴くような気がするが、トラヴェルソは案外お腹に響く。木の温かみがある。バッハがこの楽器を好み、沢山のフルートソナタを書いている。

大学時代から管楽器が好きだった。自分が吹けないので余計に憧れるのだろう。唇の動きと空気の流れで音を作るところが歌に似ているような気がする。ピアノの持っている多面性は素晴らしい。しかし巨大なピアノと3歳から格闘している私は少々疲れているのかもしれない。トラヴェルソで演奏するバッハのソナタを聴きながら、宮廷音楽家のみならず、貴族が好んで演奏していたという時代に思いをはせるのである。
by bake-cat | 2008-05-08 23:13 | Music

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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