バカンスと遊び

開け放した窓から心地よい風が流れてくる。猛暑続きで、風の存在すら忘れる毎日だったので、今日はホッと一息つく人も多いのではないだろうか。パソコンを置いている2階の小部屋は暑く、エアコンは何年も前に壊れたまま。家電の修理は割高で、時間が経つと部品が揃わなかったりで、新しい製品に取り換える方が楽なくらいだ。一方、最近は物を捨てるのが難しい時代なので、無精な私は結局、壊れた家電をそのまま放置してしまう。壊れたエアコンは家の中にもう一台。結局それらの部屋は夏の間はあまりの暑さに、「立ち入り禁止」状態になってしまう。なんとかしなくてはいけない。だから今日のように窓から風が入って来る日は有難い。

こうやって暑い日が続くと、涼しい山の家に2~3週間行きたいね、と夫と話したりする。と言っても、私達が高原に山の家を持っている訳ではなく、それだけの休みを取れる訳でもないのだが。唯一数日の休みを取れるのはお盆前後だが、帰省客であらゆる交通機関はごった返すことが予想される。長期バカンスを取る習慣もシステムも日本にはないことが残念に感じられるこの頃だ。でも、日本にはもともと欧米的なバカンスの習慣はなく、仕事の疲れを祭りで吹き飛ばし、日常の些細なことや仕事そのものも楽しむように工夫すべきだ、と作家の玄侑宗久はどこかで言っていた。発想の転換が必要かもしれない。

中学生になった息子は初めての夏休みを迎えた。大量の宿題に休み明けテストの準備がある。所属しているサッカークラブでの練習と部活。中学生は夏休みも毎日学校だ。それでも若い彼の体力やエネルギーは消費されず、友達と川に飛び込み、小学校のグランドや道路でボールを蹴る。もうこれ以上日焼けしないだろう、と思っても更に日焼けして帰宅する。自転車での行動範囲も広がり、友達と市民プールへ行った後、更に川で泳ぐ。そしてまた真っ黒に日焼けする。子どもはバカンスなどなくても遊びの天才だ。そして40年前に毎日、川で遊んでいた夫に、思い切り飛び込むよう指示されている。同時に遠くで雷のような音がしたら直ぐに川から上がること、危ないと感じたら逆に中に潜ること、用水路の近くは避けること等もアドバイスされている。水が嫌いだった軟弱者の私には分からない話だが、少々羨ましい。
「川の中に大きなナマズがいたよ」と息子。やはりああいう外観だったのだろうか。水中でナマズと息子が一瞬見つめ合った光景を想像して苦笑した。
by bake-cat | 2010-07-29 11:48 | 思考の散策

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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