小さなシェフ

それにしても湿度が高い。7月下旬にしては気温が上がらず、それはそれでいいのだけれど、空気の重いことといったら・・・・ 更に自分の心を重くしていたイベントがいくつか終わり、本当に久しぶりに丸一日オフを取った。朝、息子に「今日は何もしないよ」と宣言。「仕事はないし、今日はピアノも弾かない。掃除も洗濯もしないし、ご飯も作らない」・・・・ふんふんと頷きながら聞いていた彼が、最後のセリフでえっ?と小さく驚く。「ご飯はパパが作るの?」「パパは今日は出張で居ないし、〇〇君に作ってもらうの」と息子を名指して言うと神妙な顔つきで小さく頷いている。

早朝夫を送り出してから、シャワーを浴びていると、息子が「パンが2種類あるけれど、どっちがいい?」と聞いてきた。もしや?と思いながら台所を覗くと、真剣な表情でベーコンを焼いている。トースターからはパンの焼けるいい匂いが。ベーコンにはチーズを絡めたらしい。丁寧にお皿に盛り付けてくれた朝食をいただいた。朝から働いた彼も満足そうな表情を浮かべて、「あ、やっぱり、チーズにベーコンは合うね」とませた口調で解説している。その後、彼と以前から約束していた「ハリーポッター」の最新版を観に映画館へ。初日は大変込み合っていたらしいその映画館もその日はひっそりしていて、観客は私達だけという寂しさ。映画終了後にはそのままラーメン屋へ直行したのだが、車の中で「ハリーは頭が悪い」と怒っている。「あんなふうにみすみすダンブルドア先生を死なせるなんて。その前にスネープを殺すべきだったんだ。自分も狙われた訳だし、正当防衛になったかもしれない。それにマルフォイは今回は演技が下手すぎた・・・」などといつもの解説が始まる。ハリーには思い入れがあるので、色々と文句も出てくるのだろう。

そしてその夜。
「夕食にはピラフを作る」と彼が宣言し、パソコンでレシピを確認している。
ベーコン、にんにく、人参、ホールトマトなどの材料を確認し、調理が始まった。私も人参を切るお手伝いをする。「ポイントはバターなんだ。こういう時はたっぷり使う。更に最後に溶かしバターで風味をつける」とまたまた解説付き。材料と米を炒め、スープで煮る。火加減に気を使い、蒸らし時間をとったことで驚くほど美味しく出来上がった。溶かしバターも効いている。自分が作ったらカロリーを気にして、こんなに沢山のバターは使わなかったかもしれないなどと考えた。「シンプルであること。でもバターはケチらない。これが大事な点だ」と更に講義を受けた。ピラフは少しだけ残して、夜遅く帰宅した夫にも振舞っていた。

私にとっては束の間の休日だったが、この日以来、息子は度々台所に立っては料理を考案している。
by bake-cat | 2009-07-30 06:36 | 一休み

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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