風と光

前回積った雪がやっと解け始めたと安堵していたら、またしても雪が降り始めた。しかし今回はいつもの重い雪ではなく、サラサラのパウダー状なので少しは雪掻きが楽である。そんな中、凍るほど寒い体育館の中で息子のフットサル大会があった。保護者もベンチコートやブランケットで身体を包みながらの応援であったが、なかなか見応えのある試合だった。結果は1勝1敗。

先日、カリフォルニアから来たアメリカ人御夫婦との食事会があった。私は初対面だったが、奥様は流暢な日本語を話される。奥様のお父様が宣教師だったため、4歳から16歳までを日本で過ごされたという。「ただ残念なことに・・・」とおっしゃるには、当時親御さんがバイリンガルにしようという意識がなかったために、ずっとアメリカンスクールに通っていたらしい。だから日本語の読み書きが全く出来ないのよ、と残念そうに溜息をついておられた。
このご夫婦とは初対面で私よりかなり上の世代であるが、話が尽きず、大変有意義な時間を過ごすことが出来た。岐阜県の白川郷など、私がまだ行ったことのない場所について教えてもらったり、また音楽にも造詣が深い。しかし、どこの国でも大きな関心事はやはり教育制度ではないだろうか。そして自国の欠点は目につきやすく、他国の良い所をなんとか取り入れようとする心が働く。しかし、それは「隣の芝生は青い」だけらしい。アメリカの教育制度の問題や今回の大統領選挙の話など、興味深い話が聞くことが出来た。

こういうゲストと会うことによって、私の知らない外の世界に触れるのは刺激的なのだが、何よりも有難いのは外からの目によって自分の日常を再確認出来ることである。自分にとって当たり前と思えることや、毎日触れながらも気が付かずに通り過ぎてしまうことを、違ったレンズを通すことにより新鮮に見えたり、全く違った感触を得たりするのである。繰り返される日々が色褪せて感じられることにより、感覚が磨耗していくことが怖い。忙しさと退屈の奇妙なコンビネーションが私の心にひしめき合っているが、それは自分の行動と心の持ち方によって違った光を当てることが出来るのだと改めて感じた。

別れ際に「今度はサンフランシスコで会いましょう」とおっしゃって下さった。それはいつのことになるか分からないが、固く張り付いた雪を踏みしめながら、カリフォルニアの熱く燃える太陽を想像した。少し心が軽くなった。
by bake-cat | 2009-01-25 18:06 | ひとりごと

ばけねこです. 美しい自然に囲まれた小さな町で細々と音楽活動をしています


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